肩の痛みがピンポイントで痛い人と広範囲で痛い人の違いとは？

肩関節の痛みは野球肩などを初めてとしたスポーツ障害から四十肩、五十肩と呼ばれる「肩関節周囲炎」など様々な病態があります。肩関節は関節の中でも複雑な構造をしているため関節包が原因の痛みもあればインナーマッスルであるローテターカフの痛み、肩の外側の筋肉の痛み、滑液包の痛み、頸椎の問題、肩甲骨の動きの悪さが原因、胸郭の問題など様々な原因があります。
患者さんの中には「肩のここが痛いんです」と人差し指でピンポイントで痛い部分を指せる場合と「肩のここら辺が痛いんです」と手全体で痛い部位を指摘する人がいます。
ピンポイントで痛い場合と、広範囲で痛い場合の違いとは何なのでしょうか？

ピンポイントの痛みはその部位が痛みの原因

「ここが痛い」という部位が人差し指でピンポイントでわかる場合はその部位自体が痛みの根本原因である場合が多いです。たとえば三角筋の部分が人差し指で「ここ！」とわかるくらいピンポイントで痛い場合は三角筋自体が損傷している可能性が高いです。
それ以外にも肩峰(肩先)が痛い場合は肩峰下滑液包炎であったりと痛みを訴えている部位自体が痛みの根本原因である可能性が高いです。

広範囲で痛い場合はその部位以外に痛みの原因がある

手全体で覆うように痛みの部位を訴える場合は、その部位が痛みの根本原因でない場合が多いです。例えば肩を上げた時に三角筋全体が痛いという場合は三角筋と同じ神経支配領域の肩関節を包む関節包の下部が原因の痛みである場合があったり、三角筋自体は全く損傷がなくても三角筋を支配する腋下神経が通る途中の筋肉が硬くなることで、肩を上げる際に腋下神経を刺激し三角筋全体に痛みを訴えることがあります。この場合、いくら三角筋をほぐしたりしても肩の痛みが改善しません。

人差し指で「ここ！」とわかるくらいの痛み→その組織そのもの(筋肉や関節包、滑液包など)が痛みの原因

手で覆うくらい全体に痛みがある場合→痛んでいる部位以外に痛みの原因がある

という違いがあります。ピンポイントの痛みと広範囲の痛みでは治療は異なりますし、セルフケアも変わります。ピンポイントの痛みである場合はその部位を伸ばすようなストレッチをして伸びてて気持ち良い感じがするのであればストレッチをしてもよいですが、広範囲の痛みである場合はその筋肉をストレッチしても効果がない可能性が高いです。