六十代、七十代でも五十肩になる?

四十代、五十代に多く発症する肩関節の痛み。「四十肩」「五十肩」と呼ばれていますが、医学的な病名では「肩関節周囲炎」と言われています。五十肩(以下四十肩も含める)は肩関節の可動域制限が起きて痛みを起こす疾患です。痛みが強い人だと夜寝ている時に痛みを訴え、徐々に痛みが治まった来ると関節拘縮を起こしてきます。経過も数か月から数年続くことがあります。六十代、七十代になってから肩の痛みを訴える方もいてご自分で「七十肩かな?」などと冗談交じりにいう方がいます。六十代、七十代でも五十肩になることはあるのでしょうか?

五十肩と六十代、七十代で起こる肩の痛みは違う原因であることが多い

六十代、七十代の方が肩肩関節の痛みを訴えることがありますが、五十肩と病態が違うことが多いです。
五十肩は肩関節に「炎症性滑膜(えんしょうせいかつまく)」という毛細血管と神経が絡まった組織が増殖することで炎症反応が強く起きて痛みを訴えると言われています。炎症性滑膜の炎症反応が治まってくるとその部分が固まってきて関節拘縮を起こすと言われています。そのため五十肩では初期から中期にかけては夜間痛や動かすとズキッと痛むなど日常生活に支障がでるほどの痛みを訴えることが多いです。中期から後期にかけては夜間痛は徐々におさまってきますが、「腕を上にあげることができない」「髪の毛を結えない、手が後ろに回らない」などの関節可動域制限を訴えるようになります。
五十肩は強い痛みから徐々に痛みが治まってくると関節可動域制限が増してきます。
五十肩は急性期、亜急性期、慢性期に分けられその時期によってリハビリのやり方も変わってきます。(詳しくは五十肩の治療をご覧ください。)

一方、六十代、七十代が訴える肩関節の痛みは炎症性滑膜の増殖ではなく、腱板断裂、腱板損傷であることが多いです。腱板とは肩関節を支える小さな筋肉を言います。腱板の中でも棘上筋(きょくじょうきん)という筋肉が六十代、七十代で断裂、損傷を起こすことが多いと言われています。
老化に伴い棘上筋の柔軟性が落ちてきて損傷を起こすと言われています。わかりやすく言うと若い人の棘上筋は弾力性のあるゴムのような状態で、六十代、七十代の棘上筋は弾力性の失われた古いゴムのような状態と言われています。古くなった輪ゴムを引っ張るとパサパサで切れやすいのが想像できると思います。このような状態なため棘上筋が切れやすかったり損傷を起こしやすいと言われています。

また、男女差をみても男:女=6:4と男性に多く、右肩に発症することが多いと言われています。これは右利きの人が右腕を酷使することで腱板に損傷を起こすのが原因ではと言われています。

症状は肩を動かす時に痛む、夜寝ていると痛むと五十肩の急性期と同じような症状を訴えることがあります。そのため五十肩と間違えられることが多いですが、腱板損傷、腱板断裂の場合は可動域制限が起こることは少なく腕を上に上げることができます。断裂が大きいと上げることが困難なこともありますが(固まっているわけはないが力が入らなくて上がらない)、五十肩の場合、他動的(人に上げてもらう)に挙上しても上げることができませんが、腱板断裂は他動だと挙上が可能です。腱板断裂、損傷の場合は肩は上がるけど肩関節の前でジョリジョリ音がなるなどの症状を訴えることが多いです。

五十肩と六十代、七十代に起こる肩関節の痛みは「肩関節周囲炎」と「腱板断裂」でそれぞれ全く違った病態であるため同じような治療をしていても改善することはありません。
それぞれに適した治療が必要になります。「五十肩は動かした方が良い」と勘違いしている方も多く、棘上筋が切れている状態なのに頑張って動かしていると返って痛みが増してしまう事もあります。六十代、七十代の方はしっかりと病態を把握してもらい、その症状に適した治療をおこなうことが痛みの改善につながります。

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