変形性股関節症の人は痩せることは大事?

中年期以降に股関節の痛みの原因となる変形性股関節症。初期には座ってから立つときに股関節が痛むなどの症状ですが、やがて進行してくると歩くのも困難になってしまう疾患です。いずれ変形が著しい場合は手術適応にもなる疾患です。股関節に痛みを感じ始め、整形外科でX線(レントゲン)を撮ると「変形性股関節症」と診断されることがあります。
整形外科での治療は初期は保存療法(投薬やリハビリテーション)をおこない、日常生活に支障がでるほどの痛み、画像上変形が強い場合は人工関節置換術などの手術適応になります。
変形性股関節症と診断された際にほとんどの医師から「体重を落としてください」と言われることでしょう。
「確かに自分も落とさないといけないのはわかっているけど、なかなか落ちない・・・痛みで運動もできないし・・・」
とお考えなのではないでしょうか。
体重が重ければ股関節にかかる負担が大きくなるのは医療の知識がなくても想像はつきます。ではどのくらい体重が股関節に及ぼす影響があるのでしょうか?

体重は1キロでも痩せたほうが何倍も負担が違う

「痩せてください」と言われてもどれくらい股関節への負担が減るのかが想像つかないとなかなか「痩せよう」と決心がつかないことでしょう。結論から言いますと1キロでも痩せることで日常生活で股関節にかかる負担が数倍違ってきます。
立っている姿勢は左右の股関節で上半身を支える形になります。両足で立っている時に股関節の大腿骨頭(だいたいこっとう・軟骨がある部分)にかかる荷重は体重のおよそ3分の1から2分の1と言われています。両足で立つことで両方に体重が分散されるため片側の股関節にかかる負担は大きくありません。

しかし人間はずっと直立位で生活するわけではありません。ほとんどの場合、歩くなどの動作が加わるため片足で身体を支えないといけない時期がでてきます。
歩く時も片足で体を支えている時間があります。片足で体を支える際に股関節にかかる荷重は急激に増します。

・片足で立っている状態では体重の約2,5倍~4倍の荷重がかかると言われています。
・通常のペースで歩く動作では最大で体重の5~6倍の荷重がかかると言われています。
・早歩きになると体重の6~7.5倍の荷重がかかります。変形性股関節症を患うと「速く歩けなくなった」と訴える人がいますが、これはスピードを上げることで股関節にかかる荷重が増すためなかなかスピードを上げて歩けなくなってきます。
・10%の昇り勾配の坂道で体重のおよそ5倍の荷重がかかります。昇り勾配が増すにつれて荷重の負荷は増します。
・10%の下り勾配で体重のおよそ6倍の荷重がかかります。下り勾配の角度が増すにつれて荷重の負荷は増します。
昇りよりも下りのほうが股関節にかかる過重負荷は増します。

このように日常生活を送るだけでも股関節にかかる過重負荷はとても大きいと言えます。歩くだけで片足支持期では体重の5~6倍かかるのです。
例えば体重が50キロの人だとすると歩行時にかかる股関節への過重負荷は250キロ~300キロです。これが51キロに増えてしまうと255キロ~306キロとなります。
仮に5キロ増えたとすると275キロ~330キロになります。体重が1キロ変化するだけで日常生活で股関節にかかる荷重が大きく変わるのです。
そのため現在過体重の方は少しでも体重を落とした方が股関節の負担を減らすことができます。1キロ落とせば1キロ負担が減るわけではなく5キロ~6キロ負担が減ることになるのでとても重要です。

痩せていて変形性股関節症の人はさらに痩せる必要あり?

体重が股関節にかかる荷重を増やしていることはご理解いただけたと思いますが、痩せていて変形性股関節症を患う方もいらっしゃいます。そうゆうかたも体重を減らした方がよいかというとその必要はありません。変形性股関節症で股関節の軟骨面に荷重がかかってしまう原因は体重のみではないからです。痩せている人は体重が原因ではないのでさらに痩せる必要はありません。股関節の軟骨面に圧力がかかってしまう要因として股関節頚体角の異常、周囲筋の緊張などにより股関節内が狭まってしまっていることなどが原因になります。痩せている方がさらに負担を減らそうと食事制限をして筋肉がさらに弱くなってしまうと返って変形性股関節症の負担を増してしまう事になるので
変形性股関節症=体重を減らすということではないことを頭にいれておきましょう。
過体重の方でも股関節頚体角の角度を正したり、周囲筋の緊張を緩和することで痛みが緩和することがありますが、体重負荷が減らない限り再び悪化してしまう可能性は十分あるので1キロでも多く痩せることはご自分の今後を考えた際にとても重要になります。

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