足が上がらなくなってしまう原因とは?その①

変形性股関節症をはじめ、股関節に痛みを訴える方の中に歩いている際に足が上がらない(股関節屈曲制限)症状がでてくる人がいます。変形性股関節症の末期の場合は関節内の狭小化により骨同士がぶつかり合って股関節を曲げることが困難になります。骨同士がぶつかり合って曲がらなくなるのは変形性股関節症の症状がかなり進行した時です。それ以外の状態でも歩いているさいに足が上がりづらかったり、仰向けで膝を胸につけようとすると全然足が上がらないという症状がでることがあります。これはどのような原因が考えられるでしょうか?

最も重要なのは腸腰筋

足が上がらなくなってしまう原因で一番重要なのが腸腰筋です。腸腰筋とは腰の骨(腰椎)から太ももの骨の内側(大腿骨小転子)にくっつく体の奥のほうにある筋肉です。いわゆるインナーマッスルと言われる筋肉です。腸腰筋は体の奥の方にある筋肉で股関節を90度よりもさらに上に上げるときに使われる筋肉です。そのため日常生活で歩く程度の運動しかしていない人はほとんど腸腰筋を使っていないことになります。腸腰筋を使わないでいると徐々に硬く廃用してきます。人間の体は良く使う筋肉には血液供給をよくして老廃物を除去し、栄養成分を運ぼうとしますが、使わない筋肉には血液供給が乏しくなり廃用してきてしまいます。腸腰筋はもともと4つ足動物時代に良く使用されていた筋肉であり、2足歩行でかつ現代社会の生活では腸腰筋を使った動きをしていない方が多く、廃用が起きやすい筋肉の一つです。

腸腰筋はインナーマッスルといって関節を安定する働きも担う筋肉です。腸腰筋は股関節の前側を通るため、腸腰筋がしっかりと働いている状態だと関節の適合性がしっかりととれている形になります。腸腰筋を使わずに硬くなっている状態だと関節の適合性が得られないため、周りの筋肉が緊張して股関節を安定させようとします。股関節にくっつくお尻の筋肉(大殿筋や中殿筋)、太ももの筋肉(大腿四頭筋)などが股関節を安定させるために緊張するため、返ってこれらの筋肉の緊張が足を上げるのを妨げることになります。

腸腰筋自体も硬くなっていると股関節を曲げた際にうまく弛緩できないため足を上げるのを妨げる要因になります。仰向けで膝を胸につけようとすると股関節の前側が詰まる感じがするのは腸腰筋がうまく弛緩できていない可能性が高いです。

股関節を曲げた際に前側に詰まる感じがする場合、腸腰筋をまず疑う

上記でも説明したように足が上がらなくなる理由で一番考えられるのは腸腰筋が硬く廃用してしまうことです。その結果、周りの筋肉が緊張し、さらに股関節を曲げづらくし、足が上がらなくなってしまいます。なので股関節周りの筋肉が硬くなっているからといって一生懸命臀部や太ももをマッサージしてもその場は足が上がるようになるけど時間が経つと戻ってしまう可能性が高くなります。
また、腸腰筋が廃用したままま股関節周りの筋肉が硬くなった状態で生活していると関節内も狭小した状態で生活するため関節内で軟骨同士がぶつかりやすくなってしまうため変形性股関節症の症状を悪化させてしまう事になります。現在股関節に痛みを訴えている方は腸腰筋を柔らかくし、血液循環を良くしてあげることが大事です。

ご自分でできるセルフケアとしてはまず仰向けに寝てもらいます。その状態で膝を曲げ、膝を胸に近づけるように動かしてきます。その時に痛みがでるか可動域制限がでるところまで足を曲げてください。痛みがでるところまで曲げたら痛い部分に軽く手を添えてください。痛い部分はおそらく鼠径部(股関節の前側)だと思います。曲げた際にお尻が張って曲がらないなどと言う場合は腸腰筋以外の原因である場合も考えられます。しかし、腸腰筋を緩めることで殿筋群も緩む可能性があるのでまずはこのセルフケアをおこなってください。痛い部分に軽くご自分の手を添えて、膝を曲げた状態にします。この姿勢で軽く膝を左右にユラユラと動かしていきます。この時に大事なのができるだけ力を抜くことです。人間の体は力を入れるよりも力を抜くことが苦手です。そのため意識して力を抜くことを行ったほうが良いです。もし、膝を左右に動かす際に力が入ってしまう感じがする人は「ユラユラ」と自分で口に出しておこなってみてください。言葉に出すことで脳がさらに緩めようと意識するようになります。

このセルフケアのポイントは
①股関節に添える手は軽く添える
②力を抜いて膝を左右にユラユラ揺らす
です。時間はだいたい1分ほど行っていただき、股関節が曲がりやすくなるかチェックしてみてください。何日か続けて股関節が曲がりやすくなってくる方は腸腰筋の廃用が原因で足があがらなくなっています。セルフケアを続けても全く変化がない場合は腸腰筋がよほど硬くなっているか、その他に原因がある可能性があるため一度専門の医療機関を受診することをお勧めいたします。

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